今月、1年半ぶりに授業が再開された、バングラデシュ・チッタゴンにあるジョナキ小学校では、失われた授業を取り戻すだけでなく、長い間普通の生活を奪われたことで傷ついた子どもたちの心のケアやカウセリングを行い、さらに保護者も巻き込んで、どんな困難にあっても自分の夢を持ち、あきらめない強い心を育てる新しい挑戦が始まります。



 村の子どもたちの実情


ジョナキ小学校の子どもたちは、これまでの先生方の努力により、みんな全国共通の卒業試験に合格し、中学に進学することができています。1時間歩いて通う村立の中学校でも、ジョナキ小学校の卒業生は勉強がよくできると評判です。

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しかし、バングラデシュの農村地域では男の子は体が大きくなり、働けるようになると、学校をやめてしまい、親の手伝いをして家計を助けるようになります。女の子を持つ親は、18歳までには結婚させるのが幸せだと信じています。そのため、女の子の中には、残念ながら中学校に2、3年になると学校をやめてしまう子が多いのが現状です。

 

土地を持たない小作農、日雇い労働しかない村の生活で、貧しい親に教育費の重荷をかけているのが辛くなり、勉強を続けたい気持ちがあっても中学を退学してしまう生徒が3割、高校では7割もいるのです。



ジョナキ小学校のチャレンジ

 

ESAでは子どもたちが自らの力で夢や希望を持てるよう、質の高い教育を提供したいと考えています。そのためにも、勉強を続けたいと思いながらも、保守的な考えや親の経済的負担から遠慮して、途中で勉強をあきらめてしまう子どもたちの状況をどのようにしたら改善できるかを現地と共に考え、来年度から、こんなことにチャレンジしようと考えています。

子どもたちには…
「心と体の健康を守る」
「なりたい自分を発見する」
「スキルを身につけて自信を持つ」
を実現したい!

親には…
「子どもが教育を受ける権利を知って、守る」を実現したい!

新たなチャレンジを開始します。



その準備として…

 

そこで、ジョナキ小学校では来年度からの実施に向けて、準備を進めています。


チャレンジ1

子どもたちの考える力や表現力を伸ばす


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苦手な子どもたちが多い算数ですが、「どうやったら楽しく数字と遊べるか」というテーマを子どもたちに与え、工作の時間を設けました。模造紙に大きく描いた子どももいれば、かけ算表をきれいな花の形に作り、真ん中に数字を入れて内側の花びらに1か10の数字を書き、外回りの花びらにその答えを書いた子どももいます。バングラデシュの一般の教育では暗記、書き写し、受け身の授業が主流で自己表現する機会はまれですが、ジョナキ小学校の子どもたちは自由に考えるこの作業を通じて九九が楽しく学べました。これからも個性を伸ばし、表現力を高める授業を増やしていく計画です。

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チャレンジ2

教育の大切さや教育を受ける権利を知ってもらう

 

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保護者を対象に中学、高校への進学を希望する子どもたちの願いを否定せず、よく家族で話し合うことができるように、コミュニケーションの大切さや教育によってもたらされる子どもの未来の可能性を教える時間を設けました。保護者からは「自分たちは小学校を卒業することができなかったので、子どもたちの考えていることがよくわからない。」「もっと話し合うことが必要だということがよくわかった。」という声もありました。

保護者が子どもの教育を受ける権利を知り、子どもの気持ちを理解し、よく話し合うことで子どもが一方的に我慢して自分の夢を諦めることがないように、学校も協力していく予定です。

 

もちろんそのために、先生たちへの、より高度なトレーニングも実施していきます。
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子どもたちが自分たちの力で夢を描ける社会の実現を目指せるよう、引き続き現地と共に考えてまいります。
今後も定期的にJONAKIレポートをお届けしていきますので、どうぞこのチャレンジを応援してください!