《続き》

K.Iさん

  初めてバングラデシュを訪れてみると、色々なことに想像以上にショックを受けた。
  まず、一番にショックだったのはゴミで汚いことである。ダッカでもシレットでも、プラスチックの包装などによるゴミの山がいたるところにあった。それを牛や羊などが漁っているのをみるとなおさら心が痛んだ。また人々が何のためらいもなくゴミをポイ捨てしており、それは街でも村でも同様だった。なぜ人々はゴミをポイ捨てするのか、衛生や環境についての教育が不足しているためなのか。ゴミの処理はどうなっているのだろう。バングラ初日から次々に気づきや疑問が出てきた。他にも、物乞いやストリートチルドレン、スラム街を実際に目にしたこと、犬が人々から不当な扱いを受けていること、村の同い年に見える女の子が自分の歳が分からないことなど、今まで知っているつもりでいたバングラデシュの現実をほんの一部ではあるが体感し、その実状にショックを受けた。日本などの先進国では生活が便利に豊かになり過ぎている一方で、バングラデシュには今を生きることで精一杯の人たちが大勢いる。バングラデシュに世界の歪みの一部が集結して現れているような気がした。
  現地でも、帰ってきてからも、自分に何ができるのか考えていたが、勿論そう簡単に答えが見つかるはずもなく、そもそも今まで何不自由なく生活してきた自分が彼らの大変さを、彼らが本当に何を必要としているのかを、真に理解するのは難しいことだ。ただ今回のスタディーツアーを通してひとつ確信できたことは、教育は大切であるということである。例えば、紅茶農園では労働に見合わず1日たったの130円しか給与が出ない。その状況を外部の人間がおかしいと疑問を呈し改善していこうとするのでは、根本的解決にはならないと私は思う。やはり内部の人間が状自ら状況に疑問を抱き、解決のために何ができるかを考えられることが必要である。内部にそのような人が出てくるには、教育が不可欠だ。教育を受けていなければ、1日に130円が労働に見合わない不当な額であることもわからないし、分かったとしても、それを訴え改善していこうとする手段を考え出すことができない。今までなんとなく教育は大切だと思ってきたが、今回のツアーでその大切さを具体的に理解することができた。
  最後に、ツアー中多くの素敵な笑顔に出会えたことは私の宝物だ。ツアーに行ったことで日本にいただけでは気づけないことを数多くの発見ができ、新たな疑問や自分への課題がうまれ、また子供たちに教育を届けたい想いが一層強くなった。貴重な体験をする機会を用意してくださったESAそして現地で出会った全ての方々に感謝です。ツアー中に感じたこと、知ったことを無駄にすることなく生かしていきたい。
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A.Uさん
  今回で3回目のバングラデシュ訪問。携帯もつながらず、冷えた水が飲めるだけで手をたたいて喜んでしまうような環境なのにも関わらず、私をこんなにもこの国に引き付けるのはやはり純粋無垢な満面の笑顔で迎えてくれる子どもたちに会いたいからです。今までとは違い、盛りだくさんなプログラムを事前にたくさん準備してから行ったため、その子どもたちとより密に交流し、対話することができ、学ぶことは多かったです。その中でも大きく2つのことが特に心に残りました。
  1つはボトムリーホームというダッカにある孤児院の子どもたちの笑顔の裏に隠された暗い過去です。お母さんが亡くなって、お父さんがアル中になってしまった子。両親を失った子。大黒柱である父親を失った子。様々な立場の子たちがこのホームでは暮らしています。今までは頭でそのことを分かっていても、笑顔に隠されてその過去を実感することはありませんでした。しかし今回、ホームに2泊して深い絆が芽生えたことで、その過去を感じさせるシーンがいくつかありました。別れの時が近づくと、仲良くしていた子達10人ほどから手紙をもらいました。その多くに、「私には両親がいない。あなたと友達でいたい。」という内容が書かれていました。それまでそんな様子を見せていなかったので、私は驚くとともに、心が痛みました。また、「ここから離れるのどういう気持ち?」と聞かれ、「悲しいよ」というと、なぜだか嬉しそうな笑みを浮かべていたのがとても印象的でした。普段、家族からの愛を十分に感じていないため、このようなつながりを、友情という形で、求めているのではないかと思いました。今まで隠れていた子どもたちの闇を感じ、ますます幸せになってもらいたい。私も何かその手助けがしたい。と強く思いました。
  もう1つは教育の大切さです。教育は即座に成果が見られない分、日本で活動しているときは、本当に支援先の役に立っているのか、不安に感じることも多々ありました。しかし、卒業生が村に唯一の店を開いたり、優秀な先生になって学校に戻ってきたりと様々な場面で教育の効果が見られました。このツアーで一番感動したのが、卒業生たちの夢が多様化したことです。今までは女子はナースや先生、男子は軍隊や警察という決まった夢しか口にしていませんでしたが、今回聞いてみると、パイロットや銀行員、弁護士など色々な職種を答えてくれました。これも、初等教育を受け、中学高校に行くようになり、視野が広がったからこその変化です。これはESAが40年にも及ぶ歳月と多くの方々からの支援の結晶であり、非常に感慨深く、この会の一員であることに誇りを持ちました。一方、夢に向かって歩んでいく際に、情報が入りづらかったり、お金が足りなかったりと新たな課題も浮き彫りになっていたので、今後は彼らの夢をサポートする支援もしていけたらいいなと感じました。
  このような実り多きスタディーツアーが実現しましたのも、多くの方の支えが合ったからこそです。この場を借りて深く感謝申し上げます。今回学んだことを心に刻み、これからも輝くような子どもたちの笑顔を守るために尽力していきたいと思います。aiko1