ツアー6日目。いよいよ最後の学校訪問になりました。シレット市街地から車で2時間弱、ジャインタプールに到着します。ここは昔、カシア族の都があった場所で、今も18世紀に造られた王宮跡が残っています。しかし、今は閉鎖され、中に入ることもできません。
どこまで走っても平らな大地が続くバングラデシュですが、このインド国境に近い地域まで来るとようやく山が見えてきます。ESAが支援するゴワバリ小学校は、ジャインタプールの街を抜け、畑の向こう側の小高い丘にあります。ゴワバリ村は35世帯という、とても小さな村です。
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丘の下に車が着くと、子どもたちがプラカードとお花ととびきりの笑顔で、私たちを出迎えてくれました。
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村に到着すると、まず私たち一行の目に飛び込んできたのは、朝から何もすることなく、家の軒先に座っているお父さんたちでした。「なぜお父さんは仕事に行かないのですか?」と聞くと、「洪水のせいで、近くのジャフロンの石切り場まで出稼ぎにも行けないし、川も氾濫してしまって魚も獲ることができません。仕事をしたくても、何もできないのです。」
このゴワバリ村は、今から50年ほど前に紅茶農園が閉鎖され、人々は茶農園ですら働くことができなくなってしまったのです。産業も何もないこの村の人々が収入を得ることは極めて難しく、国境を越えてインドの森に木を採りに行って売ったり、ジャフロンの採石場で働いたりする程度しか、収入を得る手段はありません。
自然災害の影響は、このような極貧の村の人々の生活に更なる打撃を与えるのだと知り、その厳しさを実感したのでした。
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さて、学校では授業は行われており、子どもたちの元気な声が聞こえてきます。
先生は3人、ラジェッシュ校長先生、ラザロッシュ先生と信任のシュミタ先生。昨年この学校を訪問した時は、先生たちの指導力の低さが目立ちました。教科書の棒読みやいすに座ったままの授業・・・しかしその後の教師トレーニングの成果か、今年は言葉のわからない私たちでも、きっと上手に教えているのだろうな、と伝わるくらい、先生たちのスキルが向上しているのがわかりました。何より、子どもたちの集中力が高く、私たちが教室に入って、写真を撮ったりノートを覗き込んだりしても、気を散らすことなく、一生懸命先生の話に耳を傾けている姿が印象的でした。
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おなかもすいたランチタイム、ゴワバリ小学校でもHappy Plateランチで、子どもたちにチキンカレーがプレゼントされました。めったに食べられないごちそうに、子どもたちにも笑顔がこぼれます。山盛りのご飯を、口にいっぱい頬張って食べていました。
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食事の後は、子どもたちとの交流タイム。子どもたちに大人気だったのは、折り紙。「Paki! (鶴!)Camera!(カメラ!)」あっという間に子どもたちの行列ができ、鶴やカメラの注文が殺到!おもちゃもゲームもない村の子どもたちにとって、折り紙は宝物のようでした。待っている時に子どもたちに教えた日本語がこれまた大人気!「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さん!Chotto matte Chotto matte Onisan!」日本語を真似するのがとっても上手でした。そのほか、日本からのプレゼントの絵本の読み聞かせ、歌や踊り、シャボンだまタイムでも、子どもたちとの交流を楽しみました。

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プログラムの終わりに、ツアー参加者全員で、学校の周りに果物の苗木を植えました。これは”Happy Plate"プログラムの一環として、子どもたちが植物を育て、自分たちで食べ物を収穫する経験をしてほしいという願いから。マンゴーやライチ、パパイヤ、オレンジ、ココナッツなど6本の木が大きくなって、たくさんの実をつけますように。そして、この実が子どもたちの心と体を満たしてくれますように・・・
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*バングラデシュの村の子どもたちの多くは貧困からくる栄養不良の状態です。通常の学校給食に、栄養価の高いたまごを加えることで、子どもたちの栄養改善を目指すのが”Happy Plate"プロジェクト。たまご募金にはYahooネット募金からご協力いただけます。http://donation.yahoo.co.jp/detail/5041001/

小さな村の小さな学校で、小さな小さな子どもたちが、一生懸命学んでいました。貧困の中の貧困、社会の底辺で生きる人々でしたが、子どもたちは人懐っこく、いつもキラキラ輝く笑顔でした。あの子どもたちが、学校で学ぶことによって、自ら歩いていく知識と力を得られますように・・・そう願いながら、一行は学校を後にしました。
シレットの街に帰る途中、洪水で水に浸かる畑に、大きな真っ赤な太陽が沈んでいくのが見えました。
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